「シエルさん、そろそろお昼休憩にしましょう!」

「はーい」



正午からの1時間はお昼ご飯を食べるために休診にしている。
腹が空いては戦はできぬ、なんていうしね。
一日の中でここが一番ほっこりできるひとときだ。

夜は夜で次の日の準備や、包帯、薬などの補充がある。
それが終わると倒れるように寝て一日が終わる。



「シエルちゃーん、今日はドリアだってー」

「お、ドリアかー。ハルのドリア大好きなんだよ~」

「貴族令嬢のシエル様に気に入ってもらえるなんて光栄です」


「こらっ、茶化すな」

「はは、ごめんなさい」


できたてのドリアを持ってきたのはハルとノーラさん。

ハルはここで医師見習いをしている14歳の少年だ。私の師匠、オーガストの紹介でやってきた。少し世間知らずなところはあるが、教えたことはすぐに覚える賢い子だ。

ノーラさんは診療所のご近所に住むお姉さん。私よりも年上で旦那さんもいるが、昼間はここで看護師として働いている。
貴族の中では女性は労働をするなんて言語道断という風習が強いが、平民は女性も働かなければ生きていけない。


「それでは」

「「「いただきます」」」


「ん~!やっぱりおいしい!」

「ありがとうございます」

「にしてもほんとにうまくなったね。最初は包丁の一つも握れなかったのに」

「の、ノーラさんそれはいわないでください!」


人数が少ないと運営するのは大変だが、こうやって家族のように過ごせるのはとてもいいと思う。