「まあ、シエルちゃんをからかうのはこの辺にして・・・皆さんも今日は早く帰ってくださいよ?シエルちゃん実家に行くから早く閉めさせてあげたいの」

「お、そうなのか。なら早く言ってくれればよかったのに。それじゃあまた明日」

「私も帰るわ~またね~」


ここら辺の人はみんなノーラさんの恐ろしさを知っている。だから誰も逆らわない。
ノーラさんの一言でぱっぱと退散していった。


「さすがノーラさん・・・」

「シエルさん、湿布これでいいでしょうか」


今日はハルに初めて湿布作りを任せた。
もちろん私の補助は何回もさせてきたけれど、一から全部やらせるのは今日が初となる。


「・・・うん。上出来、大丈夫だからそのまま貼ってあげて」

「はい!」


初めて自分で作った湿布が成功して嬉しそうだ。もちろん私も優秀な弟子を持てて鼻が高い。ハルは飲み込みも早いから、私と一緒で16歳で独り立ちできるだろう。


「ハル君嬉しそうね」

ノーラさんがそう言いながらやってきた。

「初めてすべて任せましたから。これからどんどんやらせるつもりです」


ノーラさんが入れてきてくれたコーヒーを二人で飲みながら、笑顔でおばあさんに処置を施すハルを暖かく見守るのだった。