最上級のシルクで作られたドレス、キラキラと輝くダイヤと真珠のアクセサリー、毎日丁寧に磨き上げられた傷もシミもない肌、唇には紅をさす。
女としての完全武装を決め込み、毎夜舞踏会で王族の目にとまるように振る舞う。


この国の貴族の娘なら、いや、世界中どこの国でも身分ある家の娘はそれが日常。
彼女たちの最終目標は王族の寵愛を受けること。

たとえ王族の正室になれなくてもよいのだ。寵姫や側室として第一王子を産むことができれば、その国の国母になれる。


身分あるものはみなそうやって家の威光を保ってきたのだ。
どの貴族も自分の家のことで必死。

隙あらばほかの貴族を蹴落とす日々。貴族の家に生まれたものならば関係のないものなど誰一人としていないのだ。ただ一人を除き・・・



「え?ドレス?いやだよ、動きにくいじゃん」



これは貴族の令嬢でありながら、全くおしとやかでも優雅でもない少女の物語