「それはそうと……。

秀哉は、どうして急に梨華と別れることになったの?

秀哉の方から言ったんだよね?

結婚をやめたいって」


郁未が尋ねた。


「いざ結婚しようと思ったら、梨華のワガママに嫌気がさしたの?

それともやっぱり、梨華のお腹にいる子は自分の子じゃないから無理だって思ったの?」


「梨華が出発する時に言ってたよな。

秀哉には、さんざん迷惑をかけたって。

どんなに好きな相手だって、自分の好意を利用されるのは嫌だよな。

秀哉の気持ちはすげーわかるよ」


実は郁未と守は、梨華と秀哉が結婚をやめた経緯を知らない。


梨華も秀哉も、あえて二人には詳しく話さなかったからだ。


話し合った結果そうなったとしか伝えていないのだ。


秀哉はチラッと私の顔を見た後、ゆっくりと口を開いた。


「梨華との結婚をやめたのは……。


俺が本当に好きな人は誰なのか。


ようやく、そのことに気づけたからなんだ……」