「お疲れー」


カチンと重なる4つのビールジョッキ。


金曜日、例の居酒屋に4人のメンバーが集まっていた。


「はーっ、こうして集まって飲むのも久しぶりねー」


郁未が嬉しそうな顔で言った。


「梨華のことで色々あったけどさ、それもようやく落ち着いたし。

また菜穂が飲み会に戻って来てくれて、オレは本当に嬉しいよ」


守も目を細めて言った。


少し前まで、もうみんなとはこんなふうに集まれないと思っていたから。


私もすごく嬉しい……。


「そうだ、菜穂。ちょっといいかな?」


あらたまって私に身体を向ける郁未に、胸がドキッとした。


「いいけど、どうしたの……?」


こんな真剣な顔の郁未を見るのは、すごく久しぶりな気がする。


一体、どうしたっていうんだろう……。


なんだか落ち着かないでいると。


「ごめん!」


突然、郁未が頭を下げた。


そうされる意味がわからずに、私はコテンと首を傾げた。


しばらく頭を下げていた郁未だったけど、ゆっくり顔を上げた。


その目はなぜか少し潤んでいて。


私はそんな郁未をじっと見ていた。