この三日間。


私は仕事をしながらも、無意識に秀哉の姿を探していた。


あの時、つい仕事の癖でイベントに来てねって言ってしまって。


そのせいで、もしかして職場の友達に誘われて、来るかもしれないと思ったから……。


バカみたい。


そんな心配、するだけ無駄だったのに。


あーほんと、何やってんだろ……。


情けなくて、ため息をついたその時。


「江坂さーん」


誰かに名前を呼ばれた。


振り返ると、イベント参加者の花屋さんが、私に手招きをしていた。


「どうしたんですか?」


私はそう言いながら、彼がいるブースへと向かった。


「江坂さん、この花いらないかなって思って」


そう言って彼が指を差すのは、イベントを華やかに演出してくれていた花達。


「これね、もう処分するしかないんだよね。

まだまだ綺麗なのに、もったいないでしょ?

だから江坂さん、持って帰らない?」


「えー、いいんですか?」


「うん、もちろん。

好きなだけ持って帰っていいから。

ここにあるビニールと輪ゴムを使って、花束にするといいよ」


「わぁ、嬉しいです。

じゃあ、いただいて帰りますね」


「僕、これから車を取りに行って来るんで、ちょっと遅くなるんだけど。

ここ何時まで大丈夫?」


「えっと、今日中に撤収してもらえれば大丈夫なので」


「そうか。じゃあまだ時間は十分あるな。

でも、江坂さんとはここでお別れかな?

三日間、お世話になりました」


「いえ、こちらこそ」


お互いにお礼を言って別れた後、私はテントの中に足を踏み入れた。