「んー、でも。

早く秀哉と一緒に暮らしたいな。

ねぇ、やっぱりここに引っ越しちゃだめ?」


そう言って、俺の膝の上に手を置く梨華。


その感触に、少しドキッとした。


「うーん。

出来なくもないけど、梨華の部屋の物をかなり処分してもらわないと厳しいと思う」


「それなら大丈夫。

家具や家電は処分するわ」


ついでに、あの男と使っていた食器類も全部捨てて欲しい……なんて。


そんなこと、口に出して言えないけど。


「じゃあ、早速引越しの準備を始めていい?」


「それは、いいけど……。

つわりでしんどいのに、引越しの準備なんてして大丈夫なのか?

重たいものとか、運ばない方が良くないか?」


「家具や家電はリサイクルショップに取りに来てもらうから平気よ。

私は、小物や衣類を段ボールに詰めるくらいかな」


「ふぅん……」


なんだろう。


さっきから、なんだかモヤモヤする。


違和感を感じるというか……。


どうしてなんだろう。


「なぁ、梨華」


「ん?」


「何をそんなに急いでいるんだ?」