「じゃあ、二人で暮らす新居を探さない?」


「え……?」


新居?


「いつかは一緒に暮らすんだし、だったら今すぐでも良いよね」


「あー、まぁ……」


それは、確かにそうだけど。


まだ俺の両親に話していないのに、早過ぎなんじゃないかな。


「私ね、物件をいくつか検討しているの。

ねぇ、ここなんてどうかな?」


そう言って、梨華が俺にスマホの画面を見せた。


「2LDKのマンション?」


「うん。場所もね、秀哉の職場から20分だし、今よりも近くなるわよ」


「ふぅん」


今より職場が近くなるのはありがたいけど。


でも……。


「家賃が14万……?」


「そうだね。大体、この辺りの相場はこれくらいかな」


「それは、ちょっと高くないか?」


今の家賃の約2倍だもんな。


それが毎月となると、負担はかなり大きいと思う。


「会社の近くにこだわるより、俺は家賃が手頃なところがいいな」


「でも、ここは駅に近いし、買い物もすごく便利なのよ。

生活に必要なものが、ほとんど徒歩圏内に揃ってるし。

ほら、赤ちゃんが産まれたら、やっぱり買い物は便利な方がいいでしょう?

私も秀哉も、車を運転しないんだし」


「それは、そうだけど。

もうちょっと探してみよう。

きっと他にもあるよ。郊外でも便利なところが」


市によって、受けられるサービスが全く違うらしいし。


そういうことも含めて考えないとな。