「秀哉、いい加減にして!」
私は、私の腕を掴む秀哉の手を自ら離した。
「婚約者がすぐそばにいるのに、バカなことを言わないで!」
私の言葉に、ハッと目が覚めたような顔をする秀哉。
「あんなに好きだった梨華と結婚出来るんだよ。
冗談でもそんなこと言うもんじゃないわよ。
大体、私に対しても失礼だよ。
そんな気なんか、さらさらないくせに!」
秀哉はなんだか呆然としていて、自分の置かれている状況がよくわかっていない様子だ。
「と、とにかく。
今夜はゆっくり休んだ方がいいよ。
じゃ、じゃあね……」
様子がおかしい秀哉を置いて行くのは忍びなかったけど。
このままここで秀哉と話しているわけにもいかなくて、私は自分の席へと戻った。
もちろん、梨華の目を避けて……。
それ以降、秀哉達のテーブルを見る勇気はもうなかった。
だから私は、その後の秀哉の行動が一切わからない。
ちゃんと席に戻ったのか、いつ帰ったのかさえも。
しばらくして、私達の席にデザートが運ばれて来たけど。
ずっと心臓がドキドキして止まってくれそうになかった。
強く掴まれた腕。
私を見つめる瞳。
『俺と、行く……?』
心ここにあらずだったけど、秀哉は確かにそう言った。
もう会わないと心に固く決めたはずなのに。
私の心はまだ、秀哉で完全に支配されていた。
私は、私の腕を掴む秀哉の手を自ら離した。
「婚約者がすぐそばにいるのに、バカなことを言わないで!」
私の言葉に、ハッと目が覚めたような顔をする秀哉。
「あんなに好きだった梨華と結婚出来るんだよ。
冗談でもそんなこと言うもんじゃないわよ。
大体、私に対しても失礼だよ。
そんな気なんか、さらさらないくせに!」
秀哉はなんだか呆然としていて、自分の置かれている状況がよくわかっていない様子だ。
「と、とにかく。
今夜はゆっくり休んだ方がいいよ。
じゃ、じゃあね……」
様子がおかしい秀哉を置いて行くのは忍びなかったけど。
このままここで秀哉と話しているわけにもいかなくて、私は自分の席へと戻った。
もちろん、梨華の目を避けて……。
それ以降、秀哉達のテーブルを見る勇気はもうなかった。
だから私は、その後の秀哉の行動が一切わからない。
ちゃんと席に戻ったのか、いつ帰ったのかさえも。
しばらくして、私達の席にデザートが運ばれて来たけど。
ずっと心臓がドキドキして止まってくれそうになかった。
強く掴まれた腕。
私を見つめる瞳。
『俺と、行く……?』
心ここにあらずだったけど、秀哉は確かにそう言った。
もう会わないと心に固く決めたはずなのに。
私の心はまだ、秀哉で完全に支配されていた。