大学を卒業すると、梨華の教授に対する思いは少しずつ薄れていった。


社会人になって慣れない仕事で大変だったし、もう二度と会うことのない教授をいつまでも思うほど、梨華も暇ではなかったのだ。


そんな梨華を目の前にして、秀哉は今度こそ自分がという思いが少なからずあったはず。


でも……。


また以前と同じことが繰り返されようとしているなんて、あんまりだ。


「秀哉は、本当に一途だね……」


私の言葉に、秀哉がフッと息を吐く。


「梨華もだよ……。

アイツも一度誰かを好きになると、ずっと思い続けちまう……」


「二人ともバカだね」


「あぁ、本当にバカだよな……」


「でも梨華の言う通り。

惚れた弱みだから、どうしようもないね……」


恋愛は結局。


惚れた方の負けなのだ……。