「無限の可能性」
「え?」
「または、奇跡。なんて言ったりもするよ」
無限の可能性。奇跡。
花言葉に隠された言葉の意味を、朝日はいつだって知っていて
わたしへのはなむけの言葉として。
「奇跡なんて願っても悲しい事ばかりなのに…」
わたしの言葉に、小笠原は物言わずに再び微笑んだ。
営業終了時間まで、お客さんは満卓だった。
わたしはひとりひとりにお礼を言ってお見送りをした後、双葉の女の子たちにもお礼を言った。
「すごい売り上げですね」と沢村は笑顔で駆け寄ってきてくれて、由真は飲みすぎたせいかソファーで寝っ転がっていた。
誰もから受ける称賛の言葉。シャンパンのボトルは去年より沢山空いていて、お祝いの数も多かった。
それでもわたしは知っている。
あたしが七色グループにいる限り、あなたには絶対に負けない。そう言った彼女の強い眼差しを。
わたしの誕生月でさえ、彼女が手をゆるめる事はなく、それどころがどんどんわたしを引き離して行ってしまう。どうしてこんなにも強い存在なのだろう。
「あー、こりゃ由真ママ飲みすぎだねー」
そう呑気に言うレイは、わたしのヘルプとして今日1日相当な量のお酒を飲んだはずだったけど、けろっとしていた。
レイの横で、柔らかい微笑みを浮かべた沢村が由真へとブランケットをそっとかける。
その表情や仕草を見て、あぁやっぱりこの人は由真をとても好きなんだな、と改めて実感した。



