「やっぱりさくらちゃんすごいね。きっとすごい子になるんだろうなぁ~って出会った時から思ってたけど」
「そんな…そんな事本当にないです」
「さくらちゃんのお客さんいい人ばっかだし、レイもすっごく楽しいよ~!
…それに髪、すっごく似合ってる」
わたしのショートヘアを見て、レイは屈託のない笑顔を見せる。
「ありがとうございます…」
優しい人たちに囲まれると感じるのは、いつだって何気ない時だった。
「小笠原さん、なかなか着けなくてごめんなさい」
一通り挨拶を済ませた後、小笠原の待つVIPルームへ向かう。
高級なブランデーがテーブルに並べられている。
小笠原はやっぱり優しい顔をして微笑んでいた。
「全然いいよ。今日は主役なんだから少しは甘えなさい」
「て、こんな高いボトルおろして~!!全然来てもらえるだけで嬉しいのに…」
「いや、ブランデーはボトルキープ出来るから全然いいんだ。
それに由真が君の席でかなりお酒を飲んでいるようだね。僕のところに来て、さくらの誕生日だからボトルあけろあけろって騒いでいたよ」
まるで子供の話をするようにクスクスと優し気な顔をして笑う。
「由真さん……他のところでは冷静に接客してて全然酔っぱらってるように見えないのに…
きっと小笠原さんには素の姿を見せてるんですね」



