それは真っ白い、たった1輪の薔薇の花。
派手好きな朝日にしては珍しい1輪の薔薇が凛と揺れている。
そしてあの頃と変わらない笑顔で言うのだ。

「誕生日、おめでとう」

それを受け取って、鼻の先にもっていくとふわりと優しい香りが広がって行った。

「ちなみに花言葉は?」

「あなたしかいない」

朝日の言葉に、ぶっと吹き出す。
それってまるでプロポーズみたい。


どうしたって王子様みたいな見た目なんかしてないのに
こんな人、全然タイプなんかじゃなかったし
本当は優しいくせに、ひねくれてる方が上回っていて
素直じゃない天邪鬼で、口は悪い上に口を開けば嫌味ばかり。
でもその心は子供のように純粋で、こうやっていつも驚くようなサプライズを用意してくれる。

その恋を語るには、時間が経ちすぎた。
経ちすぎて、良かった。
離れているからこそ近くにいる時に見えない物が分かったり、気づいたり出来るものだから。