「えぇーーー?!薄情だよぉ……
あたし本当に26歳になったばっかりなのに…誰も連絡くれないし
誰も祝ってくれないんだよぉ?!可哀想だと思いませんか?!」
「知るかっての!
その辺ふらふら歩いてればナンパでもされると思うから、声かけられた人に祝ってもらいなさい!
じゃあたし切るからね!彼氏と会えるの久々なんだから」
「薄情者ーーーー!!!!」
電話をガチャ切りされて
その場に立ち尽くす。
傘を少しだけずらして、空を見つめる。
少しだけ小雨になってきた、曇り空。
ゆりの言う通り、ナンパされた男に着いていって見ようか。
いやいやそりゃーないよ。
誰かに見られたら大変だし、あらぬ噂を立てられたらそれはそれで困る。
いいじゃん、ひとりぼっちの誕生日も。
コンビニに入って、小さなケーキを1個でも買って、ひとりでお祝いをしよう。
そんな下らない事を考えながら空を見つめている時、だった。



