そう言い返したら、ブッと吹き出して
優しい笑顔がより一層優しくなる。
この人はいつだってそうやって笑う人だった。
周りの事ばかり考えて、自分の気持ちは殺して、無理をして笑ってきたような人だ。
それを光は作られた自分だ、と自嘲して言っていたけれど、それがたとえ作られた物であったとしても、人にいつだって優しく出来るってやっぱりすごい事なんだよ。
人間は自分が1番大切だから、余裕を失うと人にやさしくなんか出来ないんだ。
だから自分の気持ちを押し殺していつだって笑っている光は、やっぱり優しい人なのだと思う。
「何か懐かしいなぁ~……」
「何が?」
「さくら、昔もそうやって言ってたよ?
光はジジイじゃないもん!かっこいいもんって!」
「そうだっけ?」
「さくらの中で俺って王子様だから~っ!」
「…それはあるかも…」
認めざる得ない事実。
そう言ったら光はまた笑った。
顔を見合わせて、わたしもまた笑った。
いつしか思い出になってしまった想いにも、今はこうやって優しく笑える。
シーズンズで光に会って、わたしは人生を変えられた。そして、光の優しさに未だに励まされる夜だって少なくはない。



