【完】さつきあめ〜2nd〜

顔を真っ赤にして小笠原に怒るゆりは
どこにでもいる素直じゃない女の子。
意地ばっかり張ってしまう彼女の本質を、勝負が終わってから初めて知った気がする。
本当に人間って分からない。
知っていたつもりでも、その人を知り尽くすなんて不可能で
非の打ちどころがないほど完璧に美しい彼女にだって、誰にも見せない一面がある。

「ね~!小笠原さん!素直じゃないよね、この人はもう~……」

「だから雪菜うるさいっての!
大体皐月に移籍してあんたの顔見ないと思ってせいせいしてたらこんなところで会う羽目になっちゃうし
皐月は皐月でクソ生意気な南がこざかしいし!!」

「あ!ゆりさん!雑誌買いました!」

「ふん、あたしの美しさにびっくりしたでしょ?
あんたがモデルだったらあんなに綺麗に写らないでしょうね?」

「本当に綺麗でした!!
まるで女優さんみたいで!!」

「…あんたって本当に嫌味が通じなくて相変わらずムカつく女ね………」

「さくらに嫌味を言おうたって無駄ですよ」

そこで綾乃がゆりのシャンパングラスにシャンパンを注ぎながらふっと笑った。

「いま、あたし、嫌味言われてました?」