そう言って抱きしめてあげたかった。
この手を離したくはなかった。
それでもそれを言わなかったし、口にしてももう何も変わらない事を知っていた。
私たちは、今のままだと一緒にいてもどうしようもないって、本当は分かっていたから。
そんな事分かりたくなかったのに。
けれどその別れが悲しみだけじゃないって事は、あなたの顔を見ればわかるの。
前向きに進もうとしているあなたの強い眼差しを見ていれば、こんなわたしにだって分かるから。
あなたが自分の人生を自分で決めたように
わたしもわたしの人生は自分で決める。
わたしは今、シーズンズで働いている。
それがわたしの選んだ、答えだった。
光がオーナーになって、深海に部長という椅子を用意した。
けれど、深海はその申し入れを断り、相変わらずシーズンズで店長をしている。
高橋も勿論シーズンズに戻りたいと言ったのだが、ONEほどの大箱を任せられるのは高橋しかいないという光の説得により、ONEにいる。
皆がいたあの頃、全てに戻れないのは知っていた。
だって、シーズンズにはもう美優もいないし
けれどはるなは相変わらず働いてるし、綾乃だって結婚を前提に涼と付き合ってるのに、まだまだ引退はしないと言い張っている。
全てが一緒と言われれば違うけれど、あの頃と変わらない物だって沢山ある。
何はともあれ、わたしは戻ってくる事が出来た。1番戻りたかった、あの日々たちと場所に。



