「朝日にとって七色グループが夢なんじゃなかったの?」
「夢ではなかったと思う。大切な物だったし、大切な人たちと過ごした場所ではあったと思うけど、それは夢とは違ったと思う。
でもあいつが言ってた七色グループだから、7店舗までは叶えて欲しいと思ってる。まぁ光に任せる事になるんだけど」
朝日があいつ、と言っていたのはさくらさんだった。
朝日の夢は七色グループではなかったのかもしれない。
さくらさんと話した夢を、ひとりで見続けたのかもしれない。
「じゃあ、あたしはどうしたら…」
「さくら」
あの日、真剣な目をしてわたしを見つめた。
出会った頃と同じ、強い眼差し。いつだって強気な、宮沢朝日らしい。
わたしは昔、朝日のそういうところが1番嫌いだった。
朝日はいつだって強引で、自分の事ばっかりで、人の気持ちなんか考えずに何でもひとりで決めてしまって
でもわたし、朝日のそういう強いところが大好きだった。
膝の上に拳を置いて、朝日は深くこちらへ向かって頭を下げた。
「ありがとう…」
そのありがとうは、誰のありがとうよりも重かった。
今まで貰った感謝の中で1番重たい物だった。



