「や、由真さんのお店で働く方がレイさんにとって良い方向に向くって…。
光は優しい人だから。レイさんが光の為に働くだけじゃなくて、自分の為に働いて欲しかったのかな。なんて」

レイは大きな目を再びぱちくりさせて、また笑った。

「どうしてそんなに光の事をわかってあげれるのに、光と一緒にいないの?」

そして、真剣な顔をした。

光が全てだった。

目標があって、目的があって入った世界で初めて見つけた恋。
それはわたしが思ってたよりずっと悲しくて、切なくて、そして何より優しいものだった。
わたしはレイに自分の気持ちが負けてるなんて思った日はなかった。それくらい光が欲しくて、光に認めてもらいたくて、側にいてほしかった。

あの日々に感じた想いは全部嘘じゃない。けれどその日々の中で、変わりゆく気持ちがある事も知った。

「レイさん、あたし、好きな人がいるの」

「それは…光じゃないの?」

レイの言葉に苦笑いをして、ゆっくりと頷く。
そんなわたしの言葉に、わたしをじいっと見つめていた瞳に大きな涙がたまっていくのがわかった。

「レイさん?!」

「レイね、光にはさくらちゃんが必要だと思う…。なんか出会った頃から光とさくらちゃんはやっぱり似ていて、さくらちゃんといる時の光は昔の光に戻ったみたいで、さくらちゃんの前でだけ光は安心するような顔をしてたから
レイ、光には幸せになってほしいんだよ…。それがレイには叶えてあげられないってわかってるから」

頬に零れる涙を、レイは服の袖で拭った。