「残り30分だからって指を咥えて見てろっていうの?!
そんなの無責任すぎる!
無理だなんて言葉、まだ勝負は終わってないのに使わないで!
あたしはまだ全然諦めてなんかいないっ!」
ごめんなさい。
さっき、わたしは高橋より先に絶望に落ちて、すべてを諦めそうになった。
全部を投げ出そうとした。
自分に良くやったなんて言い訳を浮かべて
でもわたしは、もう何があっても絶対に諦めない。
だって聞こえたんだ。キャバ嬢としてのわたしを信じてくれていた人の声が、想いが
「ちょっと!さくらちゃん、高橋くん、何やってんのよ!」
高橋に掴みかかるわたしを、菫がやってきて制止した。
「まだ営業中よ!!」
「だって菫さん、さくらがあんまり分からない事ばかり言うから!」
「何よっ!散々あたしに諦めるなって言ったのは高橋くんでしょ?!
あたし指名回る!」
「さくらちゃんも冷静になって…。
高橋くんの言う通り、ゆりに勝つには同じボトルを空けないといけない。
でも今の残ってる指名のお客さんじゃそれは無理だわ。
小さなボトルをちまちま空けてるうちに時間なんてあっという間に過ぎてしまう…」
「じゃあ、菫さんも諦めろって言うんですか?」
「そうじゃないけどっ……」



