立ち尽くす、その姿をフロアのミラー越しに見つめていた。
何て顔をしているのよ。どんな事があったって絶対に終わりまで勝負を決めないと誓ったのは自分自身じゃない。それなのになぜさっきまでのわたしは自分の限界を自分で決めようとした?
何故諦めようとした?
最後までここで立ち上がり、戦い続ける事を選んだ。
そうじゃないと、今日まで応援してくれたお客さんにも、協力してくれた女の子たちにも、雪菜にも、朝日にも失礼だ。
閉じていた瞳を開いたら、フロアのシャンデリアに光って、眩い光りたちがわたしを包み込んだ。
「高橋くん!いま残っている指名はどこ?!」
「さくら…もう無理だよ…」
「いいから!指名の卓を回る!」
「30分じゃ、同じボトルを空けない限りさくらはもう勝てないよ!
冷静に考えれば分かるだろう?!いま指名で残ってるお客さんはオーラスでいてくれる人ばかりだ!もうこれ以上は無理だよ!!
皆限界で頑張ってるんだ……
桜井さんだってもう帰ってしまった…
さくらは良くやったよ。あのゆりさんを相手にここまで来れたんだから」
無意識に高橋のスーツの胸倉を掴んで、その行動に心底驚いた顔をしていた。



