【完】さつきあめ〜2nd〜


「高橋くん!!いまの売り上げどうなってる?!」

「あぁ、本当にお前って土壇場で強い女だよな。まさか桜井さんみたいなカードを持ってるなんて俺でも想像もつかなかった。
ゆりさんの太客もほぼ帰ったし、この勝負は、お前の勝ちだ」

お前の勝ちだ。そう聞いた瞬間、体中が震えた。
今までに感じた事のなかった達成感と、安心感に包まれて
やり切った。そう思えた。

「あたし…指名回りしないと…」

人もまばらな店内で、それでも一瞬も手を抜く事が出来ないと分かってはいた。
ぐるりと見回す店内。
ゆりの姿が見えた。
そして、ゆりの隣に座っている三浦の姿も見えた。

「三浦さんはもう使えないよ…。
バースデー期間中ずっとゆりさんを指名してて、かなりの金額を落としてる。
俺にだってお客さんの限界は分かる
今更シャンパン1本でひっくり返る売り上げの差じゃない…」

三浦とゆりを目で追って、冷静に高橋が答えた。
その時、ゆりが手をあげて、高橋をこちらへ呼んだ。
そして思いもしなかった言葉を口に出した。