さらりと桜井は言い放って、立ち上がった雪菜はニヤリと笑って「たまには男を見せるじゃん」と桜井の背中をバシバシと叩く。
「桜井さん、待って!あたしとゆりさんの差は……」
「あの頃のように彼女になってとか、無理な事は言わない。
さくらちゃんと過ごす時間にそれだけの価値を感じているという事なんだ。
こうやって改めて再会して、芋焼酎が好きだって事を覚えていてくれた。ただそれだけの君たちにとっては小さい事かもしれない。でもそれがすごく嬉しいんだ。
だから、これは俺からのはなむけとして、受け取って欲しい……」
「桜井さん、ありがとう………」
本当に感謝してる時になんか言える言葉は少なくて
こんな時に気の利いた言葉ひとつ言えない自分が嫌になる。
でもわたしは最初からそうやってやってきた。
気の利いた会話が出来なくとも、誰もが目をひくような容姿を持っていないとも、相手をきちんと見る事だけ。
「さくらちゃんが遠慮ばっかりする子だってのは昔から知ってるよ。でも今日だけは甘えて欲しい」
「そぉだよっ!さくらちゃん!女の子は甘えん坊の方が可愛いよ~!」
「本当に…シーズンズの頃から、桜井さんには助けられてばかりで……」



