「いや、違うよっ!すごく嬉しいんだ!
そうやって小さい事を覚えてくれている君の優しさが変わらないってことも…。
さくらちゃんはあの頃から俺よりずっと若い女の子だったけど、俺より全然大人だなって思ってた。
正直あの日もうシーズンズに来ないでくれって言われた時は本当にショックだったし、恥ずかしながらプライドっていうものもあったから、ずっと君に会うのは躊躇っていた」
「…あの時は生意気言ってすいませんでした。
でもどうして?どうしてわたしを指名で?」
聞きたい事は山ほどあった。
黒服が持ってきた芋焼酎で水割りを作り乾杯をしながら、事のいきさつを桜井は話し始めた。
「ONEにはたまに付き合いで来る事があって
ゆりちゃんは1回指名した縁があってそのまま何となく指名していたけれど、そんなある日雪菜ちゃんがヘルプで着いてくれた事があって
元々雪菜ちゃんは人気の女の子だったみたいで、その時たまたま手があいていてヘルプに着いてくれたみたいで、で話してみたらすごく楽しかったから、ONEに来る時は雪菜ちゃんとゆりちゃんをW指名って形にしてもらっていたんだ
もちろんゆりちゃんはすごく怒ってたけどね」
「…何となく想像はつきます」
「恥ずかしながら、雪菜ちゃんに君の相談もよくしていてね。
なんか雪菜ちゃんと話していると君と話している時と似てて何故か癒されたなぁー…」
「雪菜さんはあたしなんかよりもっともっとすごいキャバ嬢ですから」
「だから、雪菜ちゃんとはよく連絡取っていたんだけど
君がゆりちゃんと勝負してるって話も実は聞いていたんだ。
でも、君に合わせる顔がなかったというか、どんな顔であっていいかずっと分からなかった。
だから今日まで会いに来る事が出来なかったんだ……」



