【完】さつきあめ〜2nd〜

「さくらちゃんはすっごく綺麗になった!
思わずみとれちゃったよ!!」

「そんな………」

「高橋くん、VIPに予約いれてくれてると思うんだけど…」

「え?!桜井さんだったんですか?」

「そうそう。雪菜ちゃんに伝えておいたと思うんだけど」

’ううんっ!うちの指名客じゃないんだっ。ここではゆりを指名してると思うっ!’さっきの雪菜の言葉が蘇る。
まさか……

「VIPで、さくらさんを指名で」

桜井はきっぱりそう言い放って、そしてわたしを見つめ、微笑んだ。
心臓が忙しなく上下に動いている。
今日と言う日に再会をしたのは、わたしが遠い過去に手放したものでした。




「すいません。
焼酎のメニューを」

VIPに入って黒服にそう告げる。
すると桜井は不思議そうな顔をして、わたしを見つめた。

「桜井さんは芋焼酎でしたよね?」

その言葉に、桜井は照れくさそうに笑った。

「やっぱり………。
すごく綺麗になったと思ったけど、全然変わらないや…。
2年も経ってるのに、俺の好きなお酒覚えていてくれたんだ…」

「…執念深い女ですいません…」