「それはミエさんの自分勝手な考えです!」
「はぁ?!何言ってんの?」
「ミエさんが言ったんじゃないですか…。
ここでお金が発生するなら、それは仕事だって…!
だからいまここで働いてる以上、この時間だけは逃げないで下さいよ…。自分の責任を持って仕事をしてくださいよ!
あたしとゆりさんは争ってる。でもそれは来てくれたお客さんにとっては関係のない事です!」
ミエの手が止まる。
歪んだ顔で、こちらを睨みつける。
それでもワンピースを脱ごうとしたミエの手を掴んだままだった。
「あたしたちの仕事は来てくれたお客さんが楽しい気持ちで帰ってもらう事です。
だからミエさんもちゃんと自分の仕事をしてから帰ってください。
そうしたら、その後にミエさんたちが争おうとお店を辞めようとあたしには関係のない事ですから……」
「バカみたい!!
あんたもゆりさんもっ!!」
わたしの手を振り払って、何とかミエはフロアへと戻って行ってくれた。
慌ててフロアへ戻り、2階の吹き抜けから下の様子を伺っていた。
シャンパンタワーの倒れた残骸は黒服によってすぐに片付けられて
その中央で、ミエはお客さんに深く頭を下げていた。その様子をみて、少しだけ安心した。



