「もぉ…!5分しか待たないからね!
この5分が勝敗を分けたってあたしはもう知らないんだから!」
ごめんなさい。そう呟いて、ミエが消えて行った更衣室へと急ぐ。
更衣室の中でミエは物凄い形相をしながら、自分のロッカーに手をかけていた。
「ミエさん!」
驚いた顔でこっちを向いたミエは、すぐに顔を背けるようにロッカーから洋服とバックを乱暴に取り出す。
「何よっ!」
「何、してるんですか?」
「うるさいわね!あんたに関係ないわよ!人の心配するより自分の心配したら?!
大体あんたが余計な事しなけりゃこんな事にはならなかったのに!!」
ワンピースを脱ごうとするミエの手を止める。
「待ってください!」
「…別にゆりさんの味方とか正直思ってないし、ゆりさんはキャストの事を人間扱いしてないってずっと分かっていたし
憧れでもなかったけど、ゆりさんがONEの圧倒的ナンバー1だったからついていけば自分たちだって甘い蜜だって吸えたし、それがおこぼれと言われたって、それが仕事ならお金が発生するなら関係なかったから
でも最近のゆりさんは余りに横暴すぎて、ついてなんかいけなかった!人の事考えてないで、自分の売り上げの事ばかり。
でもこうなってあんたにはラッキーだったんじゃないの?あのお客さんはゆりさんのお客さんで1番太い客なんだから、売り上げもぐんと下がるでしょうね!
別にあたしはここじゃなくたって働く場所はどこだってあるから関係ないし!!」



