「菫さんはTHREE時代のお客さんにも喜ばれるし、どんなお客さんに着いてもらっても楽しんでもらえるから、本当に助かってます!!」
「ほんと、あなたと話してると調子狂うわ。
高橋ッ!THREEの時からのさくらちゃんのお客さんは?
会った事ある人の卓なら場内全部貰うから、高額なシャンパンが出たら、あたしは即座に抜いて、違うところで煽るから。
でもまだまだ出そうな席だったらそのまま残して」
「THREEからのさくらのお客さんは、4組被ってますね。
いっぱいお金落ちそうなところから着けますね」
「オッケー」
菫と高橋と付け回しの話をしていたら、シャンパンタワーが大きく崩れ落ちる音がした。
フロアにいた黒服たちが慌てて駆け寄って行って、高橋も、他の黒服に菫の付け回しを頼んで慌ててその卓へ向かっていった。
今日1番大きなタワーが出ている席で、大きな怒鳴り声が響いていた。 それは何かが崩れ落ちていく音によく似ていた。
「あぁ、祝いの席で不吉ね」
菫がぼそりと呟く。
1番盛り上げっていたその卓で、ゆりが怒っていて、それに負けじとミエが何か怒鳴っているのが見える。
ゆりの派閥の女の子も皆オロオロしていて、お客さんはぽかんと口を空けて、床へ落下していったシャンパンタワーを見つめていた。
周りのお客さんも明らかに退いた感じでその有様を見つめていて、黒服たちが片付けに忙しく動く。高橋は中心に行って、お客さんに何度も頭を下げる。
それでもゆりとミエの言い争いは止まらなかった。



