【完】さつきあめ〜2nd〜


「いやいや…」

「ONEの他の女の子から聞いてるんだ。ゆりちゃんと勝負してるんでしょ?
僕はさくらちゃんを応援してるから」

「嬉しいですけど……そんな飲めるかな……」

お客さんはぐるりと店内を見回して、小さく笑った。

「ゆりちゃんのバースデーのはずなのに…空気感はさくらちゃんが持っていってるみたいだ」

「そうですか…?」

「さくらちゃんは出会った時から無理をさせるタイプじゃなかった。
そんな君がここ数日人が変わったように頑張ってるね。
こんな時くらい無理をさせてよ………」

ONEの女の子何人かが、わたしとゆりの勝負の事をお客さんに言ってくれていた。
だからそれを応援すると言ってくれる人はこの人だけじゃなかった。
華やかなお店で、テーブルいっぱいに並べられたシャンパン。
どの卓を回っても、皆笑顔でいてくれた。
売り上げの事だけを考えて、この2週間やり抜くと決めていた。けれど、売り上げの事だけを考えていたら、わたしはここまで来れなかったと思う。


わたしとゆりの違いは何か?彼女を目指し進んでいく中で、いつも考えていた。
働いているお店の違いだけだったのか、ゆりより頑張っていなかったのか、何故勝てないのか。そんな不甲斐ない自分を責めた事もあった。
けれど、沢山の指名が被っているONEの店内を2階席からちらっと見て、満席の店内を見て、やっぱりこのお店を終わらせる事なんて出来ないと思った。

必死で走り抜けてきたこの2年間の中に答えはあった気がする。