美優と話していると、隣にいた久保が話に入ってくる。
懐かしい人。
シーズンズで初めて接客した美優指名のお客さんで
それからも時々場内指名で席に呼んでくれた。
社長でもなかったし、特別お金持ちでもなかったし普通のサラリーマンだったけど、いつだって穏やかに微笑んでいて、わたしの指名が増えてきて中々席につけなくなった時も顔を見れば名前を呼んでくれて、手を振ってくれた。
「ほんと!さくらちゃん綺麗になったよね~!元々可愛い子だったけど~!
久しぶりに会ってびっくりしちゃった!何かトップキャバ嬢って感じのオーラあるもん!」
「そんな事ないですよ!!
それにしても久保さんもお久しぶりです!変わらず元気そうで安心しました!
今日はありがとうございます」
深々頭を下げると久保は焦ったように「そんなん止めてよ~」と言った。
顔を上げたら、やっぱり美優と久保は同じように柔らかい顔をしてて笑っていた。
「久しぶりに会えて俺も嬉しいしさぁ~!」
「あたしも、すごく嬉しいです。
シーズンズにいる頃に戻ったみたい………」
周りを見渡せば、美優と久保。
そしてシーズンズのお客さんとはるなと綾乃がいる。
楽しかったあの頃。
1番戻りたかった場所が、そこにはあった。
もう2度と取り返せない過去。戻る事は出来ない時間。戻れなかったからこそこんなにも愛しく思えるのだろうか。



