「さくらちゃん、久しぶり」
穏やかに微笑みながら、わたしの名を呼ぶ。
「さくらぁー!!ちょ~会いたかったぁ~!!!
きゃはは変わってない~相変わらず可愛い」
手を離して、小さな彼女が昔と変わらず優しい笑みで顔を覗き込む。
「…美優ちゃん…」
その瞬間、いままで我慢したものが全部溢れ出していくように、わたしは肩を震わせて泣き出してしまった。
戻りたい場所があった。戻りたい時間もあった。
もしもひとつだけ願いが叶うのならば、あの時間に戻る。
ここにいる誰かともしも出会えなくなるとしても、わたしは、あの場所に戻る。
「久保ちゃ~ん、泣かせちゃったよぉ……」
「あはは~!さくらちゃん相変わらず可愛いなぁ~!」
「あ~!久保ちゃん!それって浮気って言うんだからね!」
沢山の人と出会い、色々なお店で働いてきた。
でも、わたしが戻りたかった場所は、シーズンズだった。
深海がいて、皆がいた、始まりの場所。シーズンズ。あの頃に戻れるのならば、未来に出会えなくなる出会いのひとつやふたつなくなったっていい。
わたしにとってあの場所は、そういう存在だった。



