「さくらー遅いよぉ!浅井さんが待ちくたびれてるってぇ!!」
「つぅかはるなシャンパン空けすぎ!!破産しちまうよ!!」
はるなの隣で嘆く浅井。その浅井を、手慣れたように小突く。
「るさい!!ここははるなが持つからいいの!!!」
「それは男として……」
「浅井さんそんなお金ないでしょ!!!!」
いい仲間に恵まれた、心から思う。
ふたりのやり取りを見て、綾乃と綾乃のお客さんは笑う。
綾乃は様々なお客さんと何かあるたびにこうやってお店に来てくれていたが、彼女の連れていたお客さんはいつだってお金のある人ばかりだった。
綾乃とはるなの顔を見て安心して気が抜けたすぐ後
わたしは久しぶりにホールに響く高い声に心が奪われてしまった。
いつもふわふわの長い髪だったけれど、ショートボブになっていたその髪。
可愛らしい顔で、豪快に笑う。
「どう…して………」
まるで時間が戻ったみたいに、あの頃のまま微笑む彼女がわたしを見つけ、大きな声で名を呼び、抱きしめてきた。
「さくらーーーー!!!」
ふわりと香る優しい香水もあの頃のままで
ボトルが並べられたテーブルには、また懐かしい顔。
シーズンズに入って1番初めに席についた人。



