「本当に、あなたは人から愛されるキャバ嬢だわ………」
「そんな………」
「やっぱり愛される事も才能よ。応援したくなっちゃうのが、あなたの1番の魅力なんだから」
由真は優しい微笑みで言ってくれた。
双葉では、沢村も応援してくれている。
きっと皆それぞれ自分の夢のために、惜しみない時間をわたしへ使ってくれている。
やっぱりこの仕事はひとりじゃ出来ないよ。どんなに指名客を持っていたって、売り上げがあったって、ひとりで出来る事はたかが知れている。
ひとりで戦わないといけない世界で、それでもひとりじゃないって思わせてくれるのは、いつだって周りにいた人たちだった。
それでもなおも、ひとりで戦うのを決めた強い人がいた。
わたしのずっと前を走り続けている人だと思った。
けれど決して訪れる事のないゴールを目指す、孤独な人だった。
「由真さんの卓はすぐ帰るそうだから。
しっかしこの短時間で申し訳ないくらいの売り上げを上げてくれるな。
さすが由真さんってところか」
「本来なら双葉で使ってもらうお金だったよね……」
「あぁ、でも七色自体がなくなったら双葉の存続自体危ういしな。
つぅかゆいと凛さんの卓すげーよ…」
「あのふたりはお客さんっていうより、キャストの働きをしてくれているから……」
「そりゃー元々THREEのナンバー嬢なんだから、すごいはすごんだろうけど
今や銀座だろ?そんな人たちが年末に休みを取って、他店の売り上げの貢献してるんだから…
店のママ泣かせでもあるけど」
「逆に申し訳ないよ……」



