「さくら、双葉のママが来ているよ。VIPに」
「由真さんが?!」
由真が来てくれた。
しかもVIPに……。
由真が来てくれた事で、少し期待してしまった…。
あの人が来てくれているんじゃないかって。
けれど通されたVIPにわたしの期待していた人物はいなかった。
「由真さん!来てくれたんですか?!」
「えぇ、そんな長くはいれないけどね。
うちのお店も忙しいの…」
年末の繁忙期だ。忙しくないわけない。
そう思えば休みを取ってまで来てくれた凛やゆいには感謝しかない。
由真の隣にはいつも双葉に来てくれた常連さんで、わたしが入った後に指名をくれていた会社の社長さんがいた。
もちろん元々は由真を指名していた人だ。
「わぁ!林さんお久しぶりです!!」
「さくらちゃん久しぶりー!
双葉辞めちゃって寂しかったよぉ!!」
「わざわざONEまで来てくれて嬉しいですー!!」
「時間がないけど…まぁ少しくらい協力しなちゃね。
さっきフロアで綾乃やはるなもいたわよ」
「綾乃ちゃんとはるなちゃんが?!」
「同伴で来てくれたんでしょ?あんたたち仲いいみたいだし。
それにしても綾乃はいい客相変わらず持ってるわね~…。ぜひぜひ双葉に戻ってきてほしいもんだわ~…」



