「やっぱり光くんはかっこいいね!」
「…うん。光はかっこいい………」
目の前のシャンパングラスを見つめながらぼんやりと答えた。
「あたしやゆいがこの年末のクソ忙しい時期にここにいるのは
あなたへの義理返しなの。
きっと……あの頃、あなたがいなかったらあたしはもうこの世界にはいなかったような気がするから。
あなたが引き止めてくれた。あの時は本当に感謝しているの」
「あたしもだよぉ!!さくら…あたしの為に怪我して病院に運ばれちゃった事もあったよね…。
あの時の借り、ずっと返さなくちゃって思ってたんだもん!ちょ~いい機会だよっ!
それにさくらがいなかったらあたしも引退してたかもしんないしさ!」
「ゆい…凛さん……」
「だからあたしとゆいが、ONEでどっちがボトルを卸せるか競い合ってるのかなんて、あなたには関係のないこと。
あたしたちが勝手にやっているだけの事」
「ありがとう……本当にありがとう………」
ここでふたりがボトルをいくら卸そうと、ふたりのお店ではないからふたりの売り上げには全く関係のない話。
それでも、わたしを助けてくれようとしているなんて一目瞭然で
あの頃競い合ってきた人たちが、今こんな風に助けてくれようとしているなんて夢にも思わなくて………。
「この卓はぜーんぜん放っておいていいから!!
すいませーん!!やっぱりあたしアルマンドも好きだからアルマンドのロゼもお願いしまぁーす!!」
「クソ生意気ね、あんた」
「あたしは凛さんより全然若いからいくらでも飲めますよ~!
凛さんは歳なんだから無理はしないでくださーい!!!」
「あたしも!同じの!!」



