【完】さつきあめ〜2nd〜


THREEで働いていた頃はふたりは犬猿の仲だった。
原田の事もあって、お店でやり合っていた関係だった。結局ふたりともお店を辞めてしまったけど
どうしてだろう、こんな憎まれ口を叩いていても、いまの本人たちは仲が悪そうにはちっとも見えない。
それだけ時間が流れたという事か。

「吉野さ~ん、こちらがさくらちゃん、あたしの友達なんです」

「へぇ噂通り可愛いね」

「えぇ?!吉野さん、さくらみたいな感じタイプだっけ?!」

「いやいや勿論ゆいちゃんが1番だよ!」

「嬉しい~!」

相変わらずのようだ。
相変わらず、ゆいは何も変わっていない。
アナウンサーのような清楚な見た目も、キャバ嬢らしくない素人感がある事も。
友達だと言ってくれた。ゆいと争い合った事もあった。光と関係を持っていた過去を妬んだ事も。そこまで興味がないのに、キャバ嬢としての天性の才能があったゆいを憎んだ事もあった。

それでも出会った頃に犬みたいに人懐っこく、昔からの友達のように笑い合えていた。
大好きだと思った。キャバクラという争いあう場所で、ゆいは異質な存在で、一緒にいる時間は本当に楽しかった。