「うん。さくらちゃんを待ってる人は沢山いるんだから、気にしないで」
「遥さん…涼…本当にありがとうございます……」
深くお辞儀をして顔を上げると、涼は知らん顔して笑っていて
その様子を見て、遥もまた笑っていた。
「さくら」
「うん?」
「頑張れよ」
卓を抜かれるわたしへ向かって、涼が拳を差し出してきた。
それに合わせるように拳を合わせて小さく「うん…」と呟いた。
慌ただしく卓を抜かれて、向かった先には上品な男性と談笑をしていた凛の姿があった。
…綺麗になった。あの頃より、ずっと……。
そして更にわたしを驚かせた事が、その凛の隣の卓にまた懐かしい顔があった事。
「凛さん…
ゆいも!!!」
そう、凛の姿だけではなく、隣の卓にゆいの姿もあったからだ。
「久しぶり、さくらちゃん。
こちらのお客様は滝沢さん。
滝沢拓郎さんって言ったら分かるかしら?」
「え?!滝沢拓郎さんって歴史作家の?!」
「へぇ…若いのに僕の事を知っていてくれてるんだね。嬉しいよ。
ONEに来るのは初めてだけど」
「し、知ってるも何も…大ファンです!!!!サインください!!」



