「原田も案外人を見る目がないんだな」
窓越しに映る原田は、きょとんとした顔をし目を丸くしていた。
「嫌だなぁ、有明さん。
もしかしてさくらさんがゆりさんの売り上げ越えちゃうとか考えっちゃったりするんですかぁ?」
すぐに笑って、椅子を一回転くるりと回した。
「願いを叶える奴っていうのは無謀な挑戦をした人間だ…」
「いやぁ、まさかそれはありえないって!
確かにさくらさんは人気もあるし若さもある、才能のあるキャバ嬢だと思いますよ。
けれどさくらさんがゆりさんに勝てた事は一度だってないし、ゆりさんは別格ですよ」
「その一度が今月なるとしたら?」
「面白くないっすよ、有明さん」
スーツにいれていた携帯が鳴る。
ラインは綾からで、兄貴が実家に今日帰ってくるというサッパリとした内容だったけれど、心臓がドクンと高鳴るのを感じた。
会わなければいけないという事を知っていた。
伝えなくてはいけないという事も。
何年かも言えずにいた。墓場まで持っていこうとした。誰かの為ではなく、自分の為に
情けない男だと世間からは嘲笑われるだろう。必死に築き上げてきた自分を捨てるという事。
俺はいつだって、宮沢朝日より上にいなくてはいけない。



