【完】さつきあめ〜2nd〜


原田の誤算は、このふたりだ。

彼的にはどちらも決して離したくなかったキャストであって
どちらかは引き込めると思っていた。
その彼の計算を狂わせたのは、夕陽自身だったのかもしれない。
原田とは違うアプローチで、凛とゆいの心を開かせたのは、夕陽だったから。

あぁ、やっぱり手放すべきではなかった。
人として側にいてもらえなくても、キャバ嬢として側にいてくれたら。と、そこまで考えてハッとした。
あの人なら、こんな事脳裏をかすめたりもしないんだろう。
どうして俺は’宮沢朝日’じゃないんだろう。

「どっちにしてもさくらさんは無謀な人ですよ……」

窓に手をあてるとひんやり冷たい。
雨粒の降りしきる街は、それでもネオンを絶やす事なく今日も光り輝くから
こんなに切ない気持ちになる。こんなにひとりぼっちだっていう気分にさせる。
窓にうっすらと映る男は、きっと人から見える有明光とは到底違う。嫉妬深くて、そのくせ自分を守る事に必死で、恥ずかしいくらい凡人な何も手に出来ない男なんだ。

そんな俺だけど、お前はきっと違う。
俺に優れた才能がなくても、お前が沢山の人の人生を巻き込んでいって、沢山の人間を変えていった事を知っている。
全てがお前中心で回り始めた時から、きっとこんな日が来るのを恐れていた。そして望んでいた。