「そんなの分からない!」
「分かるんだよ!!」
顔を上げた蓮が、初めて怒ったような表情になったからとっさに身構えてしまった。
それを見守る拓也は何も話そうとはしなかったけど、わたしたちの間に入って心配そうな顔をした。
「なぁ、じゃあ何で毎日毎日虐待やガキの死のニュースが無くならねぇと思う?
馬鹿みてぇに何も考えずにガキ産んで、愛情もかけられないくせに躾って言って殴って
だから俺や美月みてぇなまともな家族に恵まれなかった人間はガキなんて産んじゃいけねぇんだろう。
堕胎してやるのがせめてもの救いって奴なんじゃねぇの?」
「美月がそうなるなんて保証はないじゃない!」
「まともに親から愛情かけられたことのねぇ奴は同じ事を結局繰り返すんだよ。
虐待って連鎖する確率が多いらしいぜ?
俺や美月の間に出来たガキがまともに育つとは思えない」
「そんな事やってみなきゃわからないじゃない!」
ガンッとシャンパンをテーブルに叩きつける大きな音が響いた。
蓮さん!と拓也が立ち上がったのと同時に、蓮はまたグラスに入ったシャンパンを一気に飲み干した。
「君にはどうしてこの不味い飲み物を俺が飲むか理解出来るか?」
「…お金が欲しいから」
「そう。馬鹿みたいに体を壊して美味しくもない物飲んで
女が喜ぶ言葉を言って、こんな小さなお城で笑いたくもないのに笑って女をいい気分にさせる。
それが俺の仕事だから
俺も美月みたいにくだらねぇ親のところに産まれて、貧乏だった。その時にこの世の中は金が全てだって悟った。
金より強い物はない。それなら金を1番信じて生きる事に誰にも文句は言わせない。
愛だとか家族だとかは俺の世界の中では何も強くない。むしろそれは俺の世界では弱さだ」



