わたしの知っている限り、小笠原が指名している嬢はわたしと由真とゆりと亡くなったさくらさんだ。
そうなると、ゆりにもわたしには分からない小笠原なりの魅力があるという事になる。
けれど、わたしはもうこの時点でゆりを認めざるえなかった。
ゆりはずっとトップを走っているキャバ嬢だ。
それも朝日と別れた今だって、朝日の為に七色グループのトップにいる。
それがどれほど肉体的にも精神的にも辛い事なのかはわたしにはわからない。
けど、彼女は逃げずにこの場所に立ち続けている。
同じことをしてみろと言われたって、わたしにそれが出来るかはわからない。
わたしは七色グループに入って1年半、結局ゆりに売り上げでも何ひとつ勝っていないのだから。
「疲れたら休んでもいいじゃない」
「小笠原さん…」
「長い人生の数ヵ月を休んだって神様は文句言いやしないよ。
誰だって疲れることもあるし、立ち止まりたくなる時もある。それはそんなに悪い事じゃあないと僕は思うよ」
ありがたい言葉に、涙が出そうだった。
今日小笠原に会うまで、不安で押しつぶされそうだった。
そもそも調子よく復帰したからと言って今までのお客さんが戻ってきてくれるのか、と。
もう誰ひとりわたしなんか待っていないんじゃないかって。でもそんなわたしの不安を取り除くように、小笠原は優しく語りかけた。



