「あら、小笠原さん、今日は上等なワインなんか空けちゃって」
「あぁ、たまにもいいだろ?さくらちゃんが復帰したお祝いって事もあるし、由真もまぁ一杯飲んでいってくれよ。お店の方も忙しいとは思うけど」
「ありがたく頂戴します。復帰したお祝いもありますけど、今月はさくらちゃんの20歳の誕生日でもありますので、そちらもよろしくお願いしますね」
ふふっと小さく笑いながら小笠原がつぐワインに口をつける。
「いえいえ誕生日の事はお気になさらず!
ほんっと勝手に何か月もお店を休んで申し訳なく思ってますし…」
小笠原はワイングラスを揺らしながら、可笑しそうに由真を見て、笑った。
「由真とは君の年齢くらいの頃からの付き合いなんだ。
今はまぁこんな感じだけど、由真は君くらいの頃はもっと不真面目だった」
「う………」
その小笠原の言葉に、気まずそうに由真はグラスのワインを飲み干した。
「あらら、無くなっちゃったわ、小笠原さん、もう一杯いただきますね」
由真のグラスにワインを注ぎながら、小笠原をは話を続けた。
由真はにこにこと顔では笑っていたけど、「失礼します」と煙草に火をつけて、そっぽを向きだした。
「いやぁ、由真はね、1年に3、4回はよくお店を逃亡していてね、それでいて数ヵ月姿をくらませたかと思えばいきなり僕の携帯に電話をしてきて、明日から復帰するから同伴してよー!とかよく騒いでいたね」
「由真さん……」
「いやですわ、小笠原さんったらそんな昔の事」
由真は笑っていたけど、目はやっぱり笑ってはいなかった。



