「有明くんは頑張ってると思いますよ。
さくらさんは有明くんとは連絡取ってないんですか?」
「あたしは…光と連絡取る資格も光に何かを言う資格もないと思ってます…」
わたしがそう言うと、沢村は「出過ぎた事を聞いてしまいました」と苦笑した。
双葉に出勤した初日。
沢村自らがお店の説明をしてくれた。
シーズンズとTHREEも違った。
けれど、THREEと双葉もまた全然違った。その上、ONEはもっと違うなんて話で、上には上の店があるのだなぁと思った。
やはり客単価が全然違う。
提供されるものも、THREEよりもワンランク上だった。
暗めでシックな店内は見せつけの派手さはなかったけれど、装飾品ひとつひとつを取ってみても拘りが感じさせられる店内で、365日枯らす事がないという白い胡蝶蘭がお店の端端に鮮やかに咲き誇っている。
お店の女の子も、シーズンズやTHREEよりも年齢層が高くて、落ち着いた雰囲気の人が多かった。この場所ではそういうタイプの女の子が好かれるのだという。
好戦的な人はあまりいなく、もちろんわたしの存在を知っている女の子も何人かはいたけれど、大半が年上だった女の人は誰もがわたしを好意的に受け入れてくれているように、見えた。
その中に、レイの姿はない。 お店がオープンしてからも、レイの姿は見つけられなかった。
「さくらさん、お願いします」
久しぶりの感覚に陥る。
名前を呼ばれて、ソファーから立つ。毎日のように繰り返されていたその行為を、ずっと忘れていた。
忘れていたかのように思えたけれど、名前が呼ばれれば自然と背筋が伸びていた自分にびっくりする。



