「てか後ろのユウさんだっけ??
ねちねち陰でお客さんの席で文句言ってましたよね?
あたし聞いてたんですけど…。本人の前ではっきり言えなくて陰で言ってて恥ずかしくありません?
後、ミィさん。今日さくらさんのロッカーで何かしてませんでしたか?あたし見てしまったんですけど…」
今度はるなだ。あのおとなしかったるな。
その言葉に、ユウは静かにるなを睨みつけて、ミィは慌てたようにそわそわし始めた。
「ほんとぉ~おばさんって陰険!
さくらさんはONEでも絶対にナンバー1になるんだからぁ~!!」
「なっ!!あんたたちごときの力で、ゆりさんに勝てると思ってんの!!クソガキが!!」
そこで痺れを切らしたミエが、掴みかかるように愛の髪を引っ張る。
負けじと愛もミエへ掴みかかろうとした時だった。
「止めなさい!」
更衣室に大きな声が響き渡り、騒がしい室内は一気にシンと静まり返った。
奥にある椅子で座り込んでいたゆりがゆっくりと立ち上がると、キャストは無言で道を開けた。
何て迫力だろう。
美しさだけじゃない。
その場を一瞬で黙らせる威圧感が彼女にはあった。
ONEの豪華なフロアは彼女を一層輝かせる。まるで彼女の為に用意されたステージのように。
あれだけの仕事を一晩でやり遂げたのに、疲れた顔を一切見せずにぐるりと周りを一周見て、そしてわたしへ目を落とした。



