それでも何となく感覚で分かっていた。
埋まっている卓は雪菜指名の客を含めて、ゆりよりわたしの方が多かった。
けれど売り上げは……今日たった一日だけでもゆりが圧倒的だという事が。
楽しむ暇もないくらい指名の卓を回って、お店が閉店する頃にはへとへとだった。緊張もあったし、接客中はだいじょうぶだったのに、終わって一気に酔いが回って来た。
「さくらさん~おつかれっす!!」
「初日からすごかったですね!!…ていうかONEってやっぱりすごいんですね!!」
「芸能人見ちゃったんすよ~!!あれゆりさんの席っすよね~
やっぱすげぇなぁ~!!」
「愛ちゃん、るなちゃん…おつかれさま。
今日は沢山飲んでくれてありがとうね!」
そう言いながら、更衣室へ向かう。
閉店後の更衣室もこれまた圧巻というか
シーズンズやTHREEでトップを競っていた女の子がごろごろといるのだ。
広い更衣室もかなり混雑していた。
その中で、今日ヘルプに着いてくれた女の子を探して、ひとりひとりにお礼を言っていく。
素っ気ない子もいれば、愛想の良い子もいて、けれど全員たぶん…雪菜の仲の良い女の子たちだと思う。
借りていたワンピースと靴。
返そうとして、雪菜を探していたその時だった…。



