【完】さつきあめ〜2nd〜


急いで着替えてフロアに出ると、更に驚いた光景が目に入った。

「おっせぇよ……!!」

「ご、ごめん!ちょっとトラブルがあって…」

「お客さん待たせてるんだぞ!…てかその服いいな。似合ってる」

雪菜が手渡したワンピースは驚くほどわたしにぴったりだった。
結構な身長差があるのに不思議なもので、白いピンヒールも用意されていたみたいにぴったりだった。

「えっと、遠藤さんから着いた方がいいんだよね?」

「…それは何とかなってるから、とりあえず田中さん着け。
お前的には田中さん希望だろ?」

高橋が遠藤を優先に着けと言ったのに、わたしは慌ただしく田中の元へ向かった。
そして暫く着いた後、抜かれて遠藤の卓へ着く事となった。
順番とはいえ、遠藤の機嫌も同じくらい心配だった。
そんなわたしの心配とは他所に、2階フロアの死角になっていた卓から、遠藤の機嫌の良さそうな笑い声が聞こえてきた。

「さくらさんです!!
雪菜さん、お願いします!!」

「え?!」

「はぁ~い!!!
じゃあねん、遠藤さん~!話せてちょ~楽しかったでぇーす!」

「おお!!また来いよ!」