彼女…。
彼女は恐らくONEのナンバー2の雪菜だ。
さっきすれ違った時から、何となく予感がしていた。
わたしの前へくると、ふわりとさっきと同じ花の香りが待っていった。
大きな瞳を線にして、穏やかに微笑む。同性のわたしでもハッとしてしまうほど、可愛らしい女の子だった。
「今日すれ違ったわね。
はじめまして、あたしは雪菜」
「はじめまして!さくらです!
あの……!助けてくれてありがとうございました!!」
「えー?助けたつもりなんかないけど?
それより、足何センチ?」
「え?!23センチですけど…」
「そか!背ぇでっかいけど思ったより足は小さくて良かった!」
そう言って雪菜は自分のロッカーのロックを解除して、白いピンヒールと白いワンピースを取り出した。
そしてわたしへ合わせて、ぴったり!と微笑んだ。
「あの……」
「あたしは小さいから、あなたと体系が合うとは思ってなかったけど、さくらちゃんは細いからだいじょうぶそうね。
このワンピースあたしが着るとウェストはぴったしなんだけど丈がちょ~長くってさ~!でもさくらちゃんにはぴったりだと思うよ」
「いいんですか?!」
「結構高かったのにタンスの肥やしになってたんだも~ん!
さ、早く着替えて!お客さん待たせてるんでしょ?!
あ、あたしも早くいかないと!!!」
そう言って雪菜はわたしの背中を強く叩いて、小走りで更衣室を出て行った。
あの人が……雪菜さん。



