【完】さつきあめ〜2nd〜


その後、光の洋服を選んでカフェでお茶をして、他愛もない話をして、それだけで楽しかった。
まるで出会った頃に戻ったように、普通に光と話せている事が嬉しかったし、楽しかった。
それでも自分の中でどこかくすぶっていた想いがあったのも事実で。

「こうやってふたりで話しているとまるで昔に戻ったみたいだね」

何気ない光の一言。
そして、やっぱり光は優しく笑うんだ。
あの頃、光の背中だけを追い続けて、光にだけ選んでもらえる女の子になりたくて
シーズンズで笑いあっていた幸せだった日々。
けれど見ていた景色はいつの間にか少しずつ変わっていって、美優もいなくなって
双葉には、綾乃もはるなも、深海も高橋もいない。
勿論光だっていない。
あの頃ひたすら真っ直ぐに追いかけていた夢の隣にいてくれた人は、もう誰一人いなくなってしまった。

懐かしさと共に込みあげてくる寂しさを、誰もが胸に抱えて生きていた。少しだけ立ち止まって過去を思い返す事をわたしは弱いとは感じない。
そんな日があってもいいと思っている。
けれど、寂しいからって、悲しいからって、側にある温もりに頼ってしまう事は
未だに許せなかった。
そんな弱い自分になりたくなかったのに、どうして人は過ちを犯さずにはいられなかったのだろう。

「楽しかったよなー!」

「そうだね…。美優ちゃんとか、はるなちゃんもいて…」

「あ!美優元気でやってんの?」

「うん!たまに電話とかしてるよ!
遊ぼう遊ぼうと思ってるんだけど、美優ちゃん学校忙しいみたいで…
でも自分のやりたかった事だし、夢だったからやっぱり何だかんだ充実してるみたいだよ」