けれど光はわたしのそんな弱さを笑わなかった。
お店で使ってるという美容室に連れて行ってくれて、メイクをしてくれて、髪型も可愛くしてくれた。
本当は夕方からしかやってないらしいんだけど、職権乱用と言って、光がお店側に連絡をしてくれた。
こんな大きな場所でサロンが開けるくらい、光は経営者として成功しているんだ。光は出会った頃と変わらない。けれど、あの頃の社長だった光とは違う。それが嬉しくもあったし、少し寂しくもあった。
「休みの日にヘアメイクするなんて初めて!」
「どう?うちの美容師さん腕良くない?」
「うん!髪型もすっごく可愛いし、やっぱり美容師さんだから、メイクも上手だね~!
可愛い髪型したらやっぱりテンション上がるな~!」
「嬉しそうで何より」
「でも服装がこれだからちょい恥ずかしかった!!」
笑いながらそう言うわたしは、光に借りた部屋着のまんま。ラフなその恰好と綺麗にしてもらったヘアメイクは余りにも違和感があって、お互い顔を見合わせて笑った。
「その髪型と服に似合うような服買いに行こう!靴も!」
「本当にいいんだからね?後で絶対にお金返すからね?!」
「そんなのいいって~!俺いまは夕陽より儲けてるんだから~!
こんな時くらい男に格好つけさせろって~!」
「でも……そういうのあんまり好きじゃない!」
「夕陽が人から何か買ってもらうのが好きじゃないってのは知ってるよ!
だからこれは遅くなった誕生日プレゼントって事で受け取って?
ね、もぉ~あんまりしつこく返す返す言われたらこっちが悲しくなるっての!」
「う……ごめんなさい。
じゃあありがたく受け取ります」
そう言ったら光はにこりと笑って、わたしの手をひいた。



