「まぁいいか」
「俺の店で使ってるヘアメイクのお店でも行こうか~!
髪型も可愛くしてもらお!!それにしても夕陽髪が伸びたなぁ」
双葉に入る際にばっさりと切ってしまった髪は、いつの間にか肩まで伸びていた。
「伸びたよね~!
中途半端な長さって華やかさがないからあんまり好きじゃない!
もう少ししたらエクステつけようと思ってるんだ」
「でも俺、夕陽は髪短い方が好きだけどね。
ほら綺麗な人はショートのが似合うって言うじゃん」
「もぉ~!だから光は~!!
とりあえず由真さんにお店休むって連絡するね」
そう言って携帯を開いた瞬間
数十件の着信が入ってるのに気づく。
何件かはお客さんで、それ以外は全部朝日からだった。
ラインは、着ていない。着信だけがおびただしい数きている。
その名前を見た瞬間、昨日みたいに胸が苦しくなるのに気づいた。
頭に酸素が回らない感じ。
携帯を見つめて止まるわたしに、光は心配そうに顔を覗き込んできた。
「どうした?体調悪い?」
「だいじょうぶだよ!由真さんに電話してくるね!!」
朝日へ連絡は返さなかった。何を言っていいかも分からないし、まだ冷静に話が出来るような状況ではなかった。
光の所にいるなんて言えば怒るのは分かっていたけれど、朝日の事を考えて自分の体調が悪くなるのも許せなかった。
由真にお店を休むと連絡すると由真はあっさりオーケーをしてくれて、それどころか無理させすぎたかもね、とわたしの体調を心配してくれた。その優しさにまた胸が痛くなる。
すぐに沢村からゆっくり休んでくださいね、と連絡が入ってきて、ますます胸は痛くなった。
どうしても今日は双葉に出勤したくない。どうしようもない自分の弱さに情けなくなる。



